いつ、誰が、どこで、何を求めるかを評価するしくみ

このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年03月23日

関係性技術は、基本的には「ノード」と「ノード」とのコンタクトの頻度を計測するシンプルな技術です。 
ですから「ノード」と「コンタクト」の設定の仕方によっては、必ずしも行動履歴だけでなく、さまざまなデータに利用することが可能になります。

今回のコラムでは、コンタクトとノードの意味の捉え方と、関係性グラフにしたあとの使い方を解説します。

「ノード(データ内の要素)」と「コンタクト(直接的なつながり)」の捉え方

たとえば、行動履歴データにおいて最終的にどのように利用したいかによって、次のような「ノード」と「コンタクト」の違いが出てくるでしょう。

<Aさんがセブン・イレブン渋谷セルリアンタワー店でグリコいちごポッキーを購入した場合>

  1. ノードを「Aさん」「セブン・イレブン渋谷セルリアンタワー店」「グリコいちごポッキー」で設定して、それぞれ1回のコンタクトとして計測
  2. ノードを「Aさん」「セブン・イレブン」「渋谷」「セルリアンタワー」「グリコ」「いちご」「ポッキー」で設定して、それぞれ1回のコンタクトとして計測

データの量が多くて、コンタクトの総量も多い場合は、①のように1つの「ノード」に入る情報量を多くすることで、より詳細な分析結果を得ることができます。一方、データの量が少なかったり、拡散していてコンタクトが少なかったりする場合は②のように、一つひとつのノードを細かく分散して、コンタクトの量を増やすことで適切な分析結果を得ることができます。 

では、オープンツールのサンプルデータとして使われているウィキペディアや、あるいはニュース、ブログ、SNSなどのテキストデータはどのように扱えばよいのでしょうか。 

通常、テキストデータの分析は、テキストマイニングと呼ばれる手法で行われます。テキストマイニングとは、まず単語や文節で区切って語句を指定し、それらの出現頻度や相関、出現傾向などを分析するものです。ですから、通常のデータ分析(テキストマイニング)の場合、どのような語句について何を調べたいかをあらかじめ明確にしておかねばなりません。 しかし、語句と語句とのコンタクトのみを計測する関係性技術の場合は、よりシンプルにデータ分析ができます。形態素を解析して「ノード」を指定するところまではテキストマイニングと同じですが、それ以降は文章ごとに、語句と語句とのコンタクトの回数だけを数えていきます。 

そこで、見えてくるのは純粋な「関係性」です。たとえば「織田信長」と「豊臣秀吉」とは信頼関係で結ばれた主従で、一方「豊臣秀吉」と「徳川家康」とは天下を狙うライバル同士と、その関係は大きく異なりますが、関係性グラフ上ではどちらも同じ程度の距離にある関係と認識されます。 

あえて関係性の中身を問わないことで、ほぼすべてのテキストデータを平易にデータベース化することができます。そのほか、ウェブサイトの利用ログ(訪問回数、購入回数、SNSや掲示板の書き込み回数、メールの送受信回数)などはすべて、コンタクトとして自動的にデータベース化できます。 

基本的なシステムでいえば、形成された膨大なデータベースから、関係性技術に基づいたアプリケーションが、必要な情報だけを抽出して利用する仕組みです。

関係性技術のシステム構成
関係性技術のシステム構成

いつ、誰が、どこで、何を求めるかがわかる

では、関係性技術をマーケティングにどのように使うかの事例を見てみましょう。 

下の図はBさん(30代女性)の関係性グラフの一部です。 

Bさんの行動履歴で作成した関係性グラフの一部
B さんの行動履歴で作成した関係性グラフの一部

このような関係性グラフがあったとすれば、企業はそれぞれの個人向けに適切なマーケティングができるようになります。 

たとえば、現在のBさんから見て、直接のつながりのあるノードは「グルメ」と「旅行」と「ワイン」です。おそらく、Bさんはグルメサイトや旅行サイトを何度も閲覧していたり、実際にそれらのサイトからクーポンを入手したり予約を行っていたりします。また、ECサイトで何度かワインを購入しているかもしれません。 

つまり、これらの三つについてBさんにレコメンドを行えば、Bさんの消費行動につながる可能性は非常に高いといえます。Bさんから見ても、もしまったく興味のないレコメンド・メールが送られてくれば迷惑なだけですが、興味のあるジャンルであれば情報提供としてありがたい場合もあります。 

ところで「Bさん」から見たときに「健康」や「スペイン」や「Aさん」といったノードは、どのような位置づけになるでしょうか。直接のつながりはありませんから、おそらくBさん自身が意識して、健康の情報やスペインの情報を集めたことはないでしょう。もちろん「Aさん」とも面識はありません。 

しかし「旅行」や「ワイン」というノードを共有する「Aさん」(30代男性)とは、もしどこかで知り合いになったとしたら、意外と気が合う可能性があります。お見合いサイトや出会い系サイトなどは、このような情報を利用することで、カップルの成約率を高めて、お客様から感謝されることになるでしょう。 

実際、アメリカのマッチング・サイト、イーハーモニー(eHarmony)は、登録会員に詳細なアンケート調査を行い、29の変数からなる予測変数モデルを作成し(特許取得済み)、回帰分析を用いてマッチングに利用しています。イーハーモニーはこのデータ分析によって、年間3万組の結婚をつくり出しているそうです。 

さて「フットサル」や「サッカー」は、「Bさん」からは最も遠い位置にあります。おそらく今のBさん(30代女性)にはまったく興味のない話題でしょう。しかし、遠いとはいえ、どこかではつながっているものです。 

ここで、もしマーケティングの観点から、Bさんに「サッカー」をすすめたいとしたら、どのようにすればよいでしょうか。 

間にあるつながりを深めればよいのです。「Bさん」と「サッカー」との間には、おおまかに三つのラインがあります。

つながりの訴求力を高める
つながりの訴求力を高める

  1. 「Bさん」―「旅行」―「スペイン」―「サッカー」
  2. 「Bさん」―「旅行」―「Aさん」―「サッカー」
  3. 「Bさん」―「ワイン」―「Aさん」―「サッカー」

このうち二つのラインに登場するのが「旅行」と「Aさん」です。ということは「Bさん」にとって「旅行」や「Aさん」との結びつきが強くなればなるほど「サッカー」に興味を持つ可能性が高くなります。 

実際、Bさんが、Aさんと知り合って、Aさんの趣味である「サッカー」観戦に誘われたとしたら、一緒に出掛ける可能性は高いでしょう。もし二人が結婚したとすれば、新婚旅行はスペインでワインとサッカーを楽しむ旅になるかもしれません。 

状況によって関係の強さが変わる

関係性技術におけるつながりは、固定したものではありません。 
もし「Bさん」がグルメサイトに書き込みを行うなどして、「Bさん」と「グルメ」との間の距離が近くなれば、当然その先に連なる「健康」や「フットサル」との距離も近くなります。 

 また「Bさん」が「健康」につながる何か(たとえば「温泉」など)とコンタクトをとって、「Bさん」と「温泉」との間につながりができれば、やはり「Bさん」と「健康」との間の距離が近くなります。

状況に応じてつながりの評価は変化する
状況に応じてつながりの評価は変化する

次回は、関係性技術で導き出すことのできる、共感性や話題性、意外性、特異性などの評価指標についてご紹介します。

前回:個人の行動履歴を活用できるデータベースに変える方法

次回:マーケティングに活かせる関係性のさまざまな指標

関係性コラムトップ

トップへ戻る