顧客自身ですら意識していないニーズを切り開く

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2017年08月28日

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マーケティングとは、モノがおのずから売れるようになることであると述べました。

どのようにしたら、モノが勝手に売れるようになるのか、もう一度考えてみましょう。

「売れる仕組み」を考えよう

たとえば、ここにあなたが開発した画期的な新製品があったとします。プロペラのついた帽子で、頭にかぶると空を自由に飛べるようになるものだとしましょう。

仮に「タケコプター」という名前だとして、このタケコプターを私がたった一人で開発して、たった一人で「すごいものができた」と興奮しているだけでは、決して売れることはないでしょう。なぜならば、誰もその存在を知らないからです。

つまり、マーケティングにおいては、顧客に向けて製品の存在を広く知らしめることが欠かせません。これを一般的には、広告宣伝活動と呼んでいます。

では、国民的人気アニメとのタイアップによって、タケコプターが広く誰でも知っているものになったとしましょう。それだけでタケコプターが売れるようになるかといえば、そうでもなさそうです。実際の製品がどのようなものであるかがわからなければ、顧客はなかなか買うところまではいきません。

そこで、どこでどのようにして売るかを考える必要が出てきます。通信販売オンリーで売るのであれば、あなたは自宅で待機して、注文があるたびに一個一個を箱詰めにして発送すればよいのですが、それでは多くを売れませんし、顧客も怪しいと思って買ってくれないでしょう。

やはり、それなりに信頼のおける店舗で、実際に試すくらいでなければ、なかなか購入には至らないかもしれません。

もちろん価格も重要です。これまでにない画期的な発明なのですから、単価を1000万円にしても売れそうですが、多くを売ることはできないでしょう。原価だけを考えるのであれば10万円で販売しても利益は出ますが、それでは開発にかかった時間と費用を回収するのに時間がかかってしまいます。

あるいは、そもそもこの製品にはニーズがあるのでしょうか。もしも政府や自治体が、「危険なので勝手に空を飛ぶことを禁ずる」などといった法律を定めたとしたら、とたんに誰も欲しがらないものになってしまいます。そうでなくても、操作が難しかったり、身体に大変な負担がかかったりするようなものであれば、お金を持っている高齢者に見向きもされなくなってしまうでしょう。

このような、さまざまな条件を考慮しながら、より多くの人が欲しがってくれるように「売れる仕組み」をつくりあげていくのがマーケティングです。

顧客すら気づいていないニーズを生み出し、ウォンツを提供する

具体的な例を挙げてみましょう。

たとえば、町を歩いていて突然、あなたの靴ひもが切れたとします。そのときに、目の前のコンビニエンスストアで、まったく同じ靴ひもを手頃な価格で販売していて、なおかつ店に入らなくても見えるようなところに目立つようにディスプレイされていれば、買わない理由はありません。

ここで、企業側の視点を取り入れてみると、この店の前に靴ひもが切れやすい道路ができていれば、より多くの靴ひもが売れることになります。

マーケティングを追求していくと、顧客はどんどんとわがままなご主人様のような存在になっていきます。日本には「お客様は神様です」との言葉がありますが、これだけモノがあふれる時代に顧客に選んでもらうためには、顧客が自分自身ですら意識していないニーズをつかみ取らなければならないかもしれません。

素晴らしいマーケティングは、しばしばポカリスエット(スポーツドリンク)やポストイット(のりつき付箋)やiPod(携帯音楽プレーヤー)、iPhone(スマートフォン)のように、まったく新しいマーケット(市場)を生み出すことがあります。その一方で、失敗したマーケティングと、すぐに消える新製品もいくらでもあります。

顧客のニーズやウォンツをつかみ取り、黙っていても自社製品がどんどん売れるような仕組みをつくることが、すべてのマーケッターの夢です。

前回:顧客から寄せられた膨大な声の中から、有用な情報を拾い出す

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