これからのマーケティングは どうあるべきなのか

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2017年09月28日

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顧客のニーズやウォンツをつかむマーケティングを、最も自然なかたちで行っているのが、個人商店の店主です。

商店街の八百屋のような個人商店は、商圏が限られているために、顧客もまた限定されています。ときどき、街に来た通りすがりの一見客が立ち寄ることもあるかもしれませんが、ほぼすべての顧客は地元の常連客になります。

そのため、店主はマーケッターとしてお客様の顏や名前はもちろんのこと、その家族構成や好みまで覚える必要があります。なぜならば、お客様の欲しいと思う商品をお店に並べておけば、自然と売れていくことがわかっているからです。

関係性技術によるマーケティングも、これと同じことを目指しています。

つまり、商品やサービスを提供する企業は、顧客一人ひとりの趣味嗜好を把握して、顧客が欲しいときに欲しいものを的確に提供する必要があります。それを可能にするためには、個人商店の店主のように、顧客の好みや消費性向を知っておかねばなりません。

しかし、商店街の八百屋であればともかく、全国的にビジネスを行っているB to C 企業が、顧客一人ひとりの好みを把握することは容易ではありません。

STPマーケティングが通用しなくなりつつあるワケ

従来は、STPと呼ばれる手法によってマーケティングが行われてきました。

STPとは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)のそれぞれの頭文字をとったものです。

つまり、消費者が存在する市場を、細分化して、ターゲット層を抽出し、そのターゲット層に対しての競争優位性を確保するというもので、今日、企業の多くがマーケティングに利用している方法です。

たとえば、新しいサッカーシューズを売りたいのであれば、サッカーをしている人に向けてマーケティングをしなければなりません。

このとき、顧客をどのようにセグメンテーションするかでマーケティングの結果が異なってきます。子ども向けにするのであれば、サッカーのアニメ番組のスポンサーになってコマーシャルをうつことになります。大人向けにするのであれば、サッカーについての雑誌に広告を掲載することもできます。プロ仕様にするのであれば、Jリーグのクラブチームやユースチームに直接売り込むのがいいかもしれません。

どのようなセグメンテーションを行い、どのようなターゲットを選ぶかは、それぞれのマーケットにおける自社のポジショニングによって変わってきます。自社が他にも子どもブランドを数多く持っていて子どもに強ければ、子ども向けにマーケティングするのがよいでしょうし、逆に大人向けの高級ブランドとして知られているのであれば、実用性や機能性よりもイメージ優先で売っていくことができるでしょう。

STPによるマーケティングが、それまでのマーケティングと大きく異なるのは、顧客がそれぞれ別々のニーズやウォンツを持つ存在として規定したことです。

それまでは、「どの顧客(家庭)も、余裕ができれば家を買うし、車も買うし、テレビも冷蔵庫も洗濯機も買うよね」と考えられていたのですが「一生賃貸派だっているし、車に乗らない人もいるし、テレビが嫌いな人もいるよね」と認識が変わってきたのです。そこで、セグメンテーションとターゲッティングが必要になりました。

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たとえば、ランドセルを売りたければ、小学校入学を控えた子どもを持つ親をターゲットにしなければなりません。同様に、ミニバンを売りたければ小さい子どもを持つ家庭の主に、健康食品を売りたければ高齢者にと、セグメンテーションがなされるようになったのです。

STPによるマーケティングは、多くの人が横並びで消費をしていた時代にはそれなりに機能しました。しかし、現代は、40代男性や、30代女性といったかたちではセグメンテーションが難しい時代です。

セグメンテーションの多様化から個人単位のマーケティングへ

多くの企業では、年齢や性別だけでなく、結婚しているかいないか、子どもがいるかいないか、都市部に住んでいるか地方に住んでいるか、持ち家があるかないか、サラリーマンか自営業か、などの数多くの切り口を用意してマーケティングを深化させてきました。

とはいえ、どんなにセグメンテーションを細かく行ったところで、とらえきれない部分は出てきます。たとえば、あなたが会社勤めであれば、同じ部署にいる年齢と性別の近い同僚を思い浮かべてみてください。あなたとその人は、同じような消費性向を持っているでしょうか。おそらくほとんどの人がノーと答えると思います。たとえ同じ会社で働いていて、同じような仕事をしていたとしても、通常は休日の過ごし方や趣味嗜好はまったく異なるものです。

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そのため、マーケティングを追求していけばいくほど、顧客個人単位で商品やサービスをレコメンデーションすることに行き着かざるをえません。

そして、従来であればとうてい不可能だと思われていた、個人単位のマーケティングが、ITの進歩によって、今まさに手に届くところまできているのです。

前回:顧客自身ですら意識していないニーズを切り開く

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