事例

川崎重工業がアフターサービスのための分析に関係性技術を選んだ理由

2017年11月07日
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川崎重工業ロゴ

川崎重工業株式会社様

創業100年を超える、社会や産業の基盤を支える超大手総合製造メーカー。オートバイ・航空機・鉄道車両・船舶などを中心に機械装置を製造。製品の分野ごとに多数の関連カンパニーを国内外に置き、連結約35,000名の従業員によって、多岐にわたる商品を製造販売している。

川崎重工業様のグループ全体のIT基盤を扱う部署において、アフターサービスの高度化に向けた取り組みの中で、分析技術のひとつに関係性技術を導入いただきました。これは、関係性技術によるサービス履歴の分析結果を参照することで解決までの時間を短縮し、顧客満足度の向上につなげる取り組みです。
同社ご担当の企画本部 情報企画部 三島裕太郎様に、同社の取り組みと導入に至った経緯、所感などについてインタビューさせていただきました。

サービスの対応履歴は「宝の山」。
カスタマーロイヤリティ向上のためにテキストデータを活用

Q1.三島様の部署の役割、ご担当についてお聞かせください。

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川崎重工業 三島裕太郎様

本社のIT部門としてKHIグループのIT基盤に関する企画を行うと共に、KHI100%出資のベニックソリューション株式会社やパートナー各社様と協同でこれらを実現する事が当部のミッションです。

我々のチームは、ものづくり・ことづくりの主役であるカンパニーを支援する事に重点を置いており、私はこの中でPLM(Product Lifecycle Management)やCRM(SFA・アフターサービス)の土台となるPaaS(Platform as a Service)など、全社向けのサービスを提供しています。

Q2.川崎重工業が進めるアフターサービスの高度化に向けた分析の取り組みについてお聞かせください。

高収益の獲得に向けてアフターマーケットの重要性は高まる中、当社でもアフターサービスの拡大・高度化に向けて、サービス履歴などテキストデータの分析・活用に関する様々な活動が進められています。

また、従来から定期保守・即時保守の観点からM2Mデータを活用してきましたが、予兆保全へと世の中がシフトする中、当社でも各種センサーデータの更なる活用に向けた取り組みが行われています。

この中でも、今回我々が取り組んだのが障害などの問い合わせや定期保守の調査内容、対応などのサービス履歴(テキストデータ)の分析です。サービス担当者や営業担当者が書き込むこれらの「宝の山」であるデータの分析技術として、関係性技術を用いています。障害などの問題事象に対して、蓄積された大量のデータを瞬時に分析しサービス要員に結果を提供することで、解決までの時間を短縮。これによりカスタマーロイヤリティ向上につながると共に、ベテラン要員のノウハウ継承にも役立つと期待しています。

また、様々な分析結果を設計開発・製造にフィードバックすることで、製品自体の高度化を図り、障害件数自体を削減出来るのではと考えています。

我々本社部門としては、トータルコスト削減の観点から、このような分析基盤をカンパニーが個々に用意するのではなく、全社で共用できる基盤としてサービス化することが直近の目標です。

img_khi001.jpg 川崎重工業様の分析技術によるアフターサービス高度化の取り組み

少ないデータでも結果出せるので事業の初期から利用可能
人が見出せないような新たな発見も

Q3.関係性技術の導入に至るまでの経緯と決め手を教えてください。

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川崎重工業様の分析技術によるアフターサービス高度化の取り組み

今回の当社での活動以前に、様々な企業が集まる、とあるユーザーグループの分科会で訪日外国人向けのSNSアプリを試験的に開発するという取組がありました。ここで我々が目指したのは言葉の敷居を下げるための「リアルタイム翻訳」と、プロフィールや過去の発言等から相性の良いユーザ同士を結び付ける「マッチング機能」でした。

これらに必要な技術をWebサイトで検索していた際に見つけたのが、貴社の「ウェアシスト翻訳」と「関係性技術」の二つの取組みです。

元々貴社が当社子会社のベニックソリューションとパートナー関係であったことから、直ぐにコンタクトさせていただきました。

ここで、「関係性技術」を試用させていただき、少ないSNS上のやり取り(テストデータ)の中からもユーザの関係性を適切に可視化できたことに驚きました。

その後、自社で今回のサービス履歴分析の取組を始めたわけですが、一般的な分析エンジンではかなりのデータが必要である一方、当社グループが推進する水素チェーンや医療ロボットなどの新事業では、分析対象のデータ自体が少ないため、期待する結果が得られるまでに相応の年月がかかるのではという懸念がありました。

この中で思い出したのが、先の活動で使用させていただいた「関係性技術」でした。

Q4.検証で可視化されたものを見た時の所感はいかがでしたか?

発想を掻き立てられましたね。

可視化された画面を見ただけでも、例えば営業のデータであれば、特定の製品の近くにお客様が数社あって、そのお客様の中に1社だけその製品を購入されていないお客様がいる。それだけでも、ここはアプローチできるのではないか、など。

情報が膨大にある今の時代では、全部の情報量をひとりの人間が理解するのは難しいです。それをある程度データ分析で可能性を絞り込んで、深堀りしていくための入り口を出せることはすごく価値のあることです。

また、この検証では営業担当者のテキストデータを分析しましたが、ビジネスプロセスの異なる顧客について、共通するニーズを読み取ることができました。人では見出すことのできない新しい発見につながる可能性を感じました。

khi_ot.jpg 検証で利用したツールのUI(データはサンプル)

Q5.導入後の印象・所感はいかがですか?

先ほども少しお話しましたが、比較的少ないデータ量の中からでも、適切に関係性を可視化できる点が非常に有効だと考えています。実運用はまだこれからですが、過去のわずか1,000件程度のサンプルデータからもこのことが実証できました。実際に業務で使ってもらえるために、プロセスを考慮してデータの作り方やUIなどを開発いただいたこともよかったと思います。

また、今回のアフターサービスに限らず、営業の部分やマッチングなどアイデア次第で様々な用途に適用できる可能性があると感じています。

分析結果の見せ方はユーザーごとに工夫も必要。さらなるブラッシュアップを

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左川崎重工業 三島様
右 関係性技術開発チーム:神戸デジタル・ラボ 山口

Q6.導入後の課題はいかがでしょうか

関係性技術による分析結果を上手く活用することで、我々の視点から見ると様々な気付きを得られる一方で、IT部門以外の業務部門での活用には見せ方(UI)を工夫しないと、現場では普及しにくいのではというのが率直な感想です。

今回の取組では、この点をご考慮いただき、貴社から様々なご提案をいただきながら開発を進めることが出来ましたが、今後の運用定着に向けては、ユーザ部門の声も取り込みながら、更なるブラッシュアップが必要と考えています。

見せ方は商材が異なるカンパニーごとに、実運用に向けて最適化していく必要がありますね。

Q7.本取り組みの今後の展望をお聞かせください。

今後はPLM・CRMのサービスと同様、本アプリケーションの利用拡大を目指すと共に、関係性技術については、営業の部門で使ってみたいという声が実際に現場からも出ているので、それを皮切りにCRMのSFA分野での適用も検討したいと考えております。

―――貴重なご意見をありがとうございました。

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